適応障害

適応障害とは

適応障害とは

正常な人でも嫌なことや気にくわないことがあれば落ち込むこともあり、イライラするような精神的な乱れが生じます。

しかし、度を過ぎた精神的な負荷は病気になり、治療も必要になることがあります。
適応障害は、「行動面」や「気分」に症状が現れ、健常者と同じような生活ができなくなることをいいます。
例えば仕事や学校、恋愛などの人間関係、家庭・育児、病気など生活環境のなかで「耐え難い」「非常に辛い」など、精神的負荷を感じた時に発症します。

また、適応障害は精神的負荷の原因になる出来事、状況がはっきりしています。その原因を取り除くことができれば症状は次第に改善していきますが、ストレスの原因を取り除くことが難しい場合は症状が慢性化することもありますので注意が必要です。また、そのストレス要因は、個人間の些細なことから社会を巻き込む大きなことなど様々です。

適応障害の症状は個人差があります。動悸や腹痛などの身体的な症状や、気分が優れないといった精神的な症状、それらが一つではなく複数の症状が現れることが多くみられます。

適応障害と仕事の関連性

仕事が原因で適応障害になることも少なくありません。例えば長時間の残業や、パワハラなどの人間関係を我慢しすぎることから生じるストレスが原因となります。
他にも部署異動で環境に馴染めない、上司からの怒鳴られる、理不尽な叱責などで、会社に行けなくなってしまうケースなども見受けられます。

受診される方の多くは気分が徐々に落ち込んでいる、眠れない、不安感が続いているといった症状を抱えて来院されます。
初期症状は軽度の抑うつ状態でも、放置すると重症化してしまうこともありますので、早めの受診が大切です。

適応障害の原因が仕事である場合はストレス要因を取り除く"休職"が有効な治療の選択肢になります。

職場・働く人のメンタルヘルスケアの現状

  • 2015年にストレスチェック制度が義務化されたが、個人情報開示であり、テスト結果が被験者本人の意志でしか開示されず、保健スタッフや産業医が自身の裁量で自由に支援活動を行えないため大きな成果があったとは言えなかった
  • 50人以上の従業員がいる事業場にしか産業医配置の義務がない

といったものが現状です。

従業員のメンタルケアに力を入れ、保健スタッフや産業医を常時雇用し、ストレスチェックや相談を欠かさない会社もある一方、法律を無視して長時間の残業を命じる企業も存在します。

「自分の身は自分で守る」という意識をもち、しっかりとした知識を身につけることが働く上で大切です。

当院の働く人の
メンタルヘルスについて

適応障害の症状

  • 息が苦しい
  • 動悸を感じる
  • 咳が出る
  • 吐き気がある
  • 耳が聞こえづらい
  • 眠れない
  • のどに違和感がある
  • 胸の圧迫感がある
  • 口の周りや手足がしびれる

上記のように人によって精神的負荷に対する症状は異なります。
来院される患者様の症状で最も多いのはうつ病に似た「抑うつ状態」です。

日々の生活で、身体的な症状としては食欲不振・眠れないといった症状が多く見られますが、ケースによっては逆に眠りすぎてしまう、食べすぎてしまうといった症状の患者様もみられます。他にも、耳鳴りやめまいといった自律神経に症状として現れることもあります。

一方、心の症状では「気分が晴れない」「やる気が出ない」「些細なことにイライラする」といった症状がみられます。

適応障害では身体的な症状が比較的初期から出現しますので、見逃さないようにすることが大切です。意欲の低下や不安感といった心の症状の前に、まるで警告のように出てきます。

上記のことを把握しておくことが、適応障害の早期治療に繋がります。

適応障害の原因

環境面(外部要因)

適応障害になりやすい傾向にあるのは、相談に乗ってくれる人やサポートをしてくれる人がいない、孤立した環境にあり周囲に頼れない、非常に忙しい環境に身を置いている環境などが挙げられます。

精神面 (内部要因)

社会で生きる上で誰でも少なからず精神的に負荷を感じています。しかし、そのストレスによって適応障害になる人もいれば、ならない人もいることから、自身の内面、精神的な弱点が関連づけられることは否定できません。

そもそもストレス対処に遭遇したことがあまりないケース、ストレスの処理能力や耐性が低いといったケースは要因になりえます。また、性格的側面で悲観的すぎる、あるいは未熟すぎるというのも要因になりえます。

上記のような精神的な面からくるケースでは、精神的負荷に耐えられず、心身のストレス反応が強い状態が続くことで、逃避的行動を取るようになり、適応障害となることがあります。

適応障害は精神的な負荷と、本人がマッチしないことによって起こります。
つまり、今の厳しい環境の中で適応障害になったからといって、別の環境の中に身を置いても適応障害になるとは言えず、あくまでも今いる環境が適応障害の要因になるということです。
本人がそのストレスの内容に対してどのように感じるかがポイントです。

適応障害の治療

環境調整や服薬治療、精神・心理療法(カウンセリング)といった治療法があります。

環境調整

仕事を休む

一定の期間まとまった休みをとり仕事から離れることで症状の改善に繋がる場合があります。休みをとるポイントは数日ではなく1ヶ月単位での休みをとることであり、当院でもまずは1ヶ月〜2ヶ月程度休職を勧めます。その後は患者様の状況に応じて適宜休みの延長を提案しています。

加えて、休職される場合はスムーズに復帰できるよう、リワークプログラムの活用をお勧めしています。

いつ復帰されるかは、患者様の経過を診ながら、ご本人と相談して決めます。

部署異動などで環境を変える

会社にお勤めの患者様の場合、役職の変更や部署異動など働く環境を変えることで症状が改善することもあります。
要望が通るかどうかは、あくまで会社の考え方や希望によりますが、会社に部署や配置の要望を申し出る際に、変更することが望ましいといった旨を記載した診断書を当院から提出することも可能です。
休職をした後の復帰する際に、部署異動と合わせて職場に打診することはよくあることですので、お気軽にご相談ください。

転職や退職

会社の環境に戻ることが難しい場合は、環境を変えるために新たな職場に移る選択をすることもあります。
しかし大きな決断になるため、著しい抑うつ状態にある場合は決断を急がず、またご家族や担当医としっかり相談して決めることをお勧めします。
一度休職をして、落ち着いた状態で家族や担当医と今後の方針を考えていくことが大切です。

服薬治療

うつ病に近い症状(気分の落ち込み、不安、不眠、食欲低下など)がある方には、状況に応じて抗うつ薬や抗不安薬、睡眠導入剤を処方することがあります。
お薬を処方する場合は、服薬治療により症状改善が期待できる旨をご説明し、患者様の意志を尊重して治療方針を決めますのでご安心ください。
服薬治療の方法は様々で、症状が強い場合は限定的に安定剤などを服用して治療する方法もあれば、定期的に服用して治療していく方法などがあります。治療を続けていくポイントは負荷がないことです。気になる点やご不安な点は、スタッフや医師までお気軽にご相談ください。

心理療法、精神療法

 

院内適応障害は原因の解決が治療に有効だと言われており、そのストレスの原因を特定する、ストレスに対処する方法を習得するために認知行動療法やカウンセリングを行う場合があります。

「ストレスが原因になり引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と世界基準のICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)では提唱されています。

適応障害の原因となる精神的な負荷は、そのストレスの強弱では測れず、人によって様々ですので、「やる気が出ない」「最近物忘れが増えた」「物事に集中できない」など精神的な違和感については、心療内科や精神科への相談をお勧めします。

 

監修

新橋メンタルクリニック
院長 狩野 彰宏

「メンタルケアで全ての人が今よりも生きやすく輝ける未来を目指して」

明るい未来を紡ぐために、当院は一心一意に皆様の心に寄り添ってまいります。
心のお悩みや困りごとがありましたら、どうぞ何なりとお問い合わせをくださいませ。

院長

「メンタルケアで全ての人が今よりも生きやすく輝ける未来を目指して」

明るい未来を紡ぐために、当院は一心一意に皆様の心に寄り添ってまいります。
心のお悩みや困りごとがありましたら、どうぞ何なりとお問い合わせをくださいませ。

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